浄土真宗でお墓がいらなっていうのは本当?

たまにお客様に聞かれてしまうことがあります。それは「お寺の住職にお墓はどうしたらいいか聞いたら、いらないって言われた。どうしたらいい?」という質問です。

さてこの質問にはどう答えるべきでしょうか?

まずは、お坊さんに疑問に投げかけたいことがあります。

目次

根本的な「大谷」という言葉

浄土真宗の有名な宗派といえば、西本願寺といわれる「浄土真宗本願寺派」東本願寺といわれる「真宗大谷派」の二つが挙げられます。ちなみに私は「真宗大谷派教師」ですので、東本願寺の僧侶の立場を持っています。さてこの二つの宗派にはそれぞれ「宗門大学」と呼ばれ、宗教団体が母体の私立大学があります。西本願寺は「龍谷大学」東本願寺は「大谷大学」という大学になります。さてこの「大谷」と「龍谷」とは実は語源が同じものです。もともと龍谷大学は「龍谷山本願寺」からきているそうですが、龍谷とは「谷龍」という一文字で「おおたに」という文字を分けて作られたものなので、実は二つとも「おおたに」の意味なんですね。しかも両方ともの門主(いわゆるトップ)は大谷という名字ですね。というわけで「おおたに」というのは浄土真宗にとって非常に深い縁があります。

では「おおたに」とは一体なんでしょうか?

まずは東本願寺のHPから見てみると

真宗大谷派の本山である真宗本廟(東本願寺)は、当派の宗祖である親鸞聖人(1173~1262)の門弟らが、宗祖の遺骨を大谷(京都市東山山麓)から吉水(京都市円山公園付近)の北に移し、廟堂を建て宗祖の影像を安置したことに起源する。

と書いてあります。次に西本願寺のHPは

もともと、本願寺は、親鸞聖人の廟堂(びょうどう)から発展しました。親鸞聖人が弘長2年11月28日(新暦1263年1月16日)に90歳で往生されると、京都東山の鳥辺野(とりべの)の北、大谷に石塔を建て、遺骨をおさめました。しかし、聖人の墓所はきわめて簡素なものでありましたため、晩年の聖人の身辺の世話をされた末娘の覚信尼(かくしんに)さまや、聖人の遺徳を慕う東国の門弟達は寂莫の感を深めました。そこで、10年後の文永9年(1272)に、大谷の西、吉水の北にある地に関東の門弟の協力をえて六角の廟堂を建て、ここに親鸞聖人の影像を安置し遺骨を移しました。これが大谷廟堂(おおたにびょうどう)です。

と書いてあります。さてさて、基本的には書いてあることは全く一緒ですが、ここで注目したいのは「大谷とはそもそも親鸞聖人の遺骨をまつる石塔が建てられた場所」ということになります。ちなみに今でも東本願寺は「大谷祖廟」と言って親鸞聖人のお墓が祀られており、その周辺は門徒さんのお墓で埋め尽くされていますし、西本願寺も「大谷本廟」と言って同じく親鸞聖人が祀られており、やはり門徒さんのお墓で埋め尽くされています。

どうでしょう?真宗ってお墓がいらない宗派ですか?

ここだけ見ても真宗はお墓がいらない論にかなりの疑問が湧いてきます。

浄土真宗がお墓がいらない根拠とは?

さてでは真宗がお墓がいらない論の論拠になっているものがあるのでしょうか?実はあります。それは「改邪鈔」(がいじゃしょう)というものに書かれている「某親鸞閉眼せば賀茂河にいれて魚にあとうべし」という言葉です

さてショッキングな言葉ですね。これは間違いなく「お墓はいらない!」と言っているに違いない!と思ってしまいますね。果たしてそうでしょうか。しかしこれに対しては正確には「葬儀」を指している言葉と言われています。ただし「葬儀をするな!」というわけではありません。葬儀がこうでなかったからといって極楽に行けないということではないよ、ということです。

なぜこれが言えるかというと、この書物を書いたのは「覚如」という人なのですがこの人が編纂させた親鸞聖人の歴史を絵で記した親鸞聖人伝絵にはしっかりお墓が描かれています!

しっかり描かれたお墓の図!

さてここで一番最初の「大谷」に戻りましょう。最初にもいったとおり「大谷は親鸞聖人が埋葬された場所」そして今日の「本願寺の起源」ですね!さあ皆さんいかがですか?浄土真宗はお墓はいらないのでしょうか?僕は逆に感じます。「浄土真宗ほど親鸞聖人のお墓を大切にしてきた宗派は無い!」と言いたいです。

なぜ、真宗はお墓がいらないと勘違いされるようになったのか。それは「お墓をこう建てなきゃ行けない」ということで極楽へ行けるかは変わらないよ。ということが発展しすぎたものと考えられます。あれ?どっかで聞いたことがありますね?そうです改邪鈔と一緒です!なんのことはありません。当時と今もそんなふうに振り回されてはいけないよということなんです。

しかし、お葬式もお墓も結局は後の人の問題が最も大きくなります。親鸞聖人が賀茂川へ流せと言っても誰も守らなかったので、今日の本願寺があるわけです。だからこそ親鸞聖人の思いが伝わってるって思いませんか?お墓って素敵ですよね!750年前の想いを今日まで伝えるなんて!

さあ真宗門徒の皆さん!安心してお墓を建ててください!(笑)

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