実は関係ない?「地獄の釜が開く」とお盆の真相

結論(先に要点)

  • 「地獄の釜が開く」は民間で広まった言い回しで、お盆と仏教教義としての直接関係は薄い
  • お盆は先祖を迎えて供養する行事(由来は盂蘭盆会)
  • 「藪入り」は奉公人や丁稚が年に二度だけ実家へ帰れた“ご褒美の休日”。語源には複数説がある

お盆の本来の意味

お盆は本来「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれ、祖先や亡くなった方に感謝し、供養する仏教行事です。故事としては『目連(もくれん)尊者が飢え苦しむ母を救った』という説話が広く知られ、そこから「施し」「供養」を通じて苦しみを軽くするという考えが民間にも浸透しました。日本各地で迎え火・送り火、盆提灯、盆踊りなどの風習が見られますが、いずれも“ご先祖を弔う”という一貫した目的を持っています。

「地獄の釜が開く」とは

皆さんは「お盆は地獄の釜が開くから、ご先祖様も里帰りできる」なんて聞いたことはありませんか?このフレーズは、地獄の責め苦を象徴的に表した民間的な言い回しです。地域によっては「お盆の間は地獄の釜の火が弱まる」「亡者も里帰りする」などの口承もありますが、いずれも学術的・教義的に統一された決まりごとではありません。

それに「地獄の釜が開くかあ帰れる」っとなるとご先祖さまって地獄にいるの??となってしまい、極楽浄土にいると言っているお坊さんのお話とずれたりします。なぜこうなったっか気になって調べると実は地獄の釜が開くのは年に2回あってそれが「1月26日」と「7月16日」になります。

おかしいですよね?ご先祖様が帰られるときに初めて蓋が開くんですw

気になって調べてみると本来「地獄の釜が開く」というのは「地獄で働いてる獄卒ですら休む日」と言って、お休みの日だったんですね。それを昔は「藪入り」と言ったそうです。

藪入りって何?いつ?

「藪入り(やぶいり)」は、江戸から昭和初期まで続いた風習で、商家などに奉公する丁稚や女中が年に二度、実家へ帰省できたお休みのこと。旧暦の1月16日と7月16日(現在だとおおむね2月半ばと8月半ば)に行われました。盆と正月に近い時期で、里帰りして親に顔見せをし、衣類や土産を持って再び主人の家に戻るのが通例でした。

語源には諸説あり

  • 実家が郊外の“藪の向こう”にあるイメージから
  • 長らく会えない親元へ“藪を分け入るように”帰る情景から
  • 「宿入り(やどいり)」が転じたとする説

いずれにしても、“ようやく帰れる特別な日”というニュアンスが語感に宿っています。

つまり藪入りで実家に帰った人がようやく墓参りできる日でもあったわけです。

なぜ結びついて語られるのか

  • お盆は“霊がこの世に戻る”期間だと信じられてきた
  • 一方「地獄」は死後世界の苦を象徴する舞台装置
  • 藪入りで実家に帰った人が墓参りできた

これらが“死者の出入り”というイメージで重なり、口伝で結び付けられたのでしょう。結果として「お盆=地獄の釜」という連想が広まったと考えられます。

まとめ:正しく知ると、お盆がもっと豊かになる

お盆は恐れる日ではなく、感謝と供養の行事。「地獄の釜が開く」はあくまで民間表現です。地域の口承も魅力のひとつとして尊重しつつ、先祖を思う気持ちを中心に据えると、しきたりや所作の意味が自然と腑に落ちるのではないでしょうか。

一口法話

地獄の釜が開くからご先祖様が帰ってきて少しでもいいところに行けるように供養する

それもとても日本人らしい考え方かもしれませんね。しかしちゃんと調べてみるといろいろなことが重なった結果といえます。

ご先祖様のことを思い供養をする。とても大切なことです。

でも皆さんはお墓に向かわれるときに何を思われていますか?

「ありがとうね」

「元気でやってますよ」

「やっとあなたの言ってたことがわかったよ」

「子供が遠くに引っ越すから見てやってくださいね」

そんないろいろな気持ちでお墓に向かわれていると思います。しかしそこで「私たちの持っている想いをお墓(ご先祖様・ご家族)に預けられる」なんてこともしてらっしゃるのでしょう。

お墓(ご先祖様)はその預かった思いを「心配いらんよ。」なんて優しく受け取ってくれると思います。

もしかしたら「世間では地獄の釜なんて言ってるけど極楽浄土にいるから心配いらんよ」そんなことも仰ってるかもしれません。ご供養というのは実は一方的なものでなく、ご先祖さまからもご供養されています。お墓にお参りするとなんかほっと安心できる、、、そんな気持ちはご先祖様から預かったものかもしれないですね。

また、お墓やお寺でご供養をするというのは「ご先祖様」だけでなく、その後ろの仏様やご家族、それ以外のもの(それこそ地獄の獄卒?!?)までご供養をされているということも、一つ心にとどめて頂ければと思います。

南無阿弥陀佛

南無阿弥陀佛

山田昌史

1級お墓ディレクター・真宗大谷派教師・建築石材アドバイザー・石材産業協会災害委員の私が書きました!

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