供養っていったい何をすればいいの?

山田昌史

こんにちは!お墓ディレクター・真宗大谷派教師の山田です!今回は僧侶よりの視点ですがお答えします!

辞典によるとそもそも供養の元となった言葉(プージャー)は敬意をもってねんごろにもてなすこと。特に神々、祖霊や動植物の霊、さらには尊敬すべき人などに対して、供犠や供物をささげる事、またそれによって敬意を表すことを意味する。仏教では仏・法・僧の三宝や父母・師長・亡者などに、香華・灯明・飲食(おんじき)・資材などのものをささげることをいう(供給資養くきゅうしょう)(岩波仏教辞典)とあります。仏さまにもちろん手を合わせることが最も大事ですが、基本の三種があるのでまずはそちらの説明をさせていただきます。

目次

供養の基本三種

本堂やお仏壇、お墓でも基本の三種になります。どこのお寺に行かれても仏様の前には花・香・灯明があります。最も古くからの供養ともいわれておりお釈迦様以前から用いられているともいわれています。

お経などでも、お花は大切にされており仏陀以前から供物として用いられてきたのではないかといわれています。

特に蓮が仏教では大切なもので、蓮華化生といって蓮華から仏様が生まれたり、阿弥陀経には極楽浄土の荘厳として、「車輪のような大きな蓮」が咲いていると書かれているものです。また、仏様の足元を見ると必ず蓮の上に立っているのも特徴になります。

特にお墓参りなどでは必ずお持ちになりお供えするものです。それは亡くなった方に対しての尊敬の念だったり、感謝の思いなどが含まれている大切なお供え物ですので、お花だけは必ず持って行っていただきたいものです。

個人的には「この場が清浄である」という事を表しているのではないかとかってに思っています。

お香は場所などにより「焼香」「線香」「燃香」など形が大きく変わるもので、お墓ではほとんどの場合が「線香」を用います。

元来日本では結納の贈答用にも用いられており、基本的には高価なものとして扱われていました。ですのでお葬儀に参列する際に「御香典」「御香資」などは、「これは御香代の足しにしてください」や「みんなで高いお香の代金を負担しましょう」という助け合いの気持ちがあらわれたものといわれています。

もともとは、インドでは気候の問題などから体臭防止の香水の様に用いられていたともいわれています。

現在は、宗派によっては食香(じきこう)ともいわれ、仏様が香りを食べられるとされていたり、お花と同じく浄土の荘厳として良い香りが漂っている極楽を表すとも言われています。

個人的には「この身が(仏様と私が)清浄である」という意味を表してるのではないかと勝手に思っています。

灯明

ローソクの明かりというのも大切な供養の一つですが、多くの地域のお墓では省略されていることが多いようですが、名古屋ではお墓の基本に含まれています。

比叡山などでは「不滅の法灯」といって1200年間消えない明かりをともしています。経典には明かりの表現が多数出てくることもあり、大切にされています。仏様自身も智慧の光などで表現されており「無明(迷いの世界)」を照らす「光」といわれたりしています。

また、仏様の名前そのものに使われていることも多く「大日如来」や「不可思議光如来」など、凡夫を照らす光として表現されています。

個人的には「この心が清浄である」という意味を表していると勝手に思っています。

飲食(水・ごはんなど)

お仏壇では「ごはんや水」おはかでは「お水」をお供えしましょう・

もともとはお釈迦様や僧侶などにお食事を提供する行為のことですが、お寺に行くと毎朝「御仏飯」といわれる大きなご飯をお供えしています。また仏前にある「樒」のささった花瓶が、お水のお供えも兼ねているとの考えもあります。

お墓でご飯は難しいのでお菓子などのお供え物をしてもよいのですが、必ず持ち帰りましょう。また水鉢がある場合はそこに綺麗なお水を入れましょう。

資材

資材はお金に限ったことではなく昔は衣服(えぶく)や座具や寝具などの生活用品などの物をささげていることになります。

現在では「お布施」として、僧侶にお金をおわたしするのが一般的です。

また、お仏壇を用意することや、お墓を建てることが「資材供養」といえるでしょう。

花・線香・蝋燭の並べ方

三つの場合と五つの場合それぞれの数が変わります。また呼び方も三つの場合は「三具足(みつぐそく)」、五つの場合は「五具足(ごぐそく)」といいます。

五つの場合

お墓と一緒ですが、まず「お香1つ」「花2つ」「ろうそく2つ」が五具足の内訳になります。並べ方としては

真ん中にお香1つ

一番外側に花1対

お香と花の間に蝋燭1対

が基本となります。お墓もそうなっていることが多いですが、地域によっては蝋燭がオプションの為、外側になる場合があります。

三つの場合

お仏壇でもよく用いられるのが三具足と呼ばれるパターンです。

基本的な花・線香・蝋燭がそれぞれひとつずつになります。置き方としては

香炉が真ん中(これは五具足でも変わりません)

花が左側

ろうそくが右側になります。

よく間違えている人が多いので、確認しましょう。

花をこちらに向ける理由

お供え物というのは本来であれば、亡き人であったり仏様に向けてお供えするものなので、反対側に向いているのが基本かもしれません。しかし実際にはこちらへ向けてお花というのはお供えをします。

これは、個人的な解釈が大きくなってしまいますが、この荘厳を「受け取っているのはこちら側の人間である」という考え方があります。お浄土の荘厳をすることによって、こちらの感謝の気持ちだったり、尊敬の想いを向けるのですが、同時に仏様がこちらに対して「安心してね」と語りかけてくれている気がします。こちらが抱く亡き人たちに対する想いがそのまま還ってきているのではないでしょうか。

よくお墓参りに行くと心が落ち着くなど聞きます。これは、実際に亡き人たちに向けて「安らかに」という思いが、仏様から帰ってきて安らかな心持でいられるのではないでしょうか。だからこそ、「供養の形」というのを表して感謝を形にしたいものです。

また、蝋燭(心)・花(場)・お香(身)の清浄であるという事は、その供養するカタチや心が清浄になることだと思います。ぜひ次回お寺やお墓にお参りになる際は基本の三つをみて清い心や場や身というのを思いながら手を合わせてください。それは仏様(亡き人)だけでなく、手を合わせているあなた自身が清くあるのだと思います。

お問い合わせ

ご依頼及び業務内容へのご質問などお気軽にお問い合わせください

※水曜定休日