一口法話 「信じること」と「伝わること」

山田昌史

1級お墓ディレクター・真宗大谷派教師・建築石材アドバイザー・石材産業協会災害委員の私が書きました!

今回は、お坊さん方の勉強会に参加した内容をもとに、「信じること」と「伝わること」について考えてみたいと思います。

今回の勉強会では、浄土真宗の歴史、とくに蓮如上人のお働きや、「自信教人信」という言葉、そして浄土三部経について学びました。

お墓を扱う石材店として、仏教の教えにふれる時間は、単なる知識の勉強ではありません。
お墓とは何か。
手を合わせるとはどういうことか。
ご先祖さまや大切な方を思う場に、石材店はどのように関わるべきなのか。

そうした問いを、あらためて見つめる時間になりました。

今回の中心になった言葉のひとつが、「自信教人信」です。

自ら信じ、人を教えて信ぜしむ

ただし、ここで大切なのは、「自分が人に教えてあげる」という上からの姿勢ではありません。

勉強会では、むしろ「教える側」ではなく、自分自身が教えに出遇い、いただいたものを、自然に表していくことが大切なのではないかという話が印象に残りました。

本当に深く受け取ったものは、無理に広めようとしなくても、その人の言葉や姿勢、生き方を通して伝わっていく。「伝える」というより、伝わっていく

この感覚は、石材店の仕事にも通じるものがあります。

お墓は、ただの石ではない

私たち石材店は、石を加工し、お墓を建て、墓地を整えます。

しかし、お墓は単なる石の構造物ではありません。

そこには、ご家族の思いがあります。
亡き方への感謝があります。
手を合わせる時間があります。
そして、家族や親族が集まり、心を整える場所としての意味があります。

光徳石材では、お墓を「亡くなった人をしまっておく場所」とは考えていません。

お墓は、仏さまそのものに近い礼拝の対象であり、手を合わせることで、私たち自身の心が整えられる場所です。
そして同時に、家族が集まり、思い出を語り、いのちのつながりを感じる場所でもあります。

だからこそ、お墓づくりには、見た目の美しさや施工の確かさだけでなく、祈りの場を整える姿勢が欠かせません。

蓮如上人と「伝わる」力

今回の勉強会では、蓮如上人についても学びました。

蓮如上人は、浄土真宗の教えを多くの人に広めた方として知られています。
とくに「御文(おふみ)」と呼ばれる手紙を通して、教えをわかりやすく伝えたことが大きな特徴です。

当時は、今のように誰もが本を読める時代ではありません。
文字を読める人が読み上げ、それを周りの人が聞く。
そうした形で、教えが地域の中に広がっていきました。

ここでも重要なのは、教えが一人の力だけで広がったのではないということです。

  • 読める人がいた。
  • 聞く人がいた。
  • 集まる場があった。
  • 語り合う関係があった。

つまり、教えは「人」と「場」を通して伝わっていきました。

このことを考えると、お墓やお寺、地域の集まりの場も、単なる場所ではありません。
人が集まり、言葉を交わし、思いを受け継ぐための大切な場なのだと感じます。

お坊さんの学びから、石材店が受け取るもの

お坊さん方の勉強会では、言葉の意味だけでなく、その背景にある歴史や受け止め方まで丁寧に確認されていました。

たとえば、蓮如上人の時代には、教えが「御文(おふみ)」を通して広がっていきました。
しかし、それは単に文章が配られたということではありません。

読める人が読み、聞く人が受け止め、地域の中で語り合われる。
その積み重ねの中で、教えが人々の暮らしに根づいていったのだと思います。

石材店の仕事も、どこか似ています。

お墓を建てることは、ただ形をつくることではありません。
そこに込められた思いを受け止め、家族が手を合わせる場を整えることです。

お坊さんが教えを伝える場を大切にされるように、私たち石材店も、祈りの場としてのお墓を大切に整えていきたい。
今回の勉強会を通して、そう感じました。

浄土三部経と、教えの受け止め方

今回の勉強会では、浄土三部経についても話が広がりました。

浄土三部経とは、

  • 『仏説無量寿経』
  • 『仏説観無量寿経』
  • 『仏説阿弥陀経』

の三つのお経を指します。

その中でも、親鸞聖人は『大無量寿経』をとても大切にされました。
阿弥陀仏の願い、つまりすべてのいのちを救おうとする大きな願いが説かれているからです。

仏教の学びは、言葉だけを追うと難しく感じることがあります。
しかし、その根本には、私たち一人ひとりのいのちをどう受け止めるか、という問いがあります。

人は誰でも、迷い、不安を抱え、思い通りにならない現実の中で生きています。
その私たちに向けられている大きな願いを聞くこと。
そして、その願いの中で自分のいのちを見つめ直すこと。

それが、仏教を学ぶ意味のひとつではないかと思います。

お墓を通して、伝わっていくもの

お墓は、過去のためだけにあるものではありません。

今を生きる私たちが、亡き方と向き合う場所です。
家族が集まり、いのちのつながりを感じる場所です。
そして、次の世代へ大切な思いを伝えていく場所です。

言葉で教え込むのではなく、手を合わせる姿を通して伝わるものがあります。
お墓参りに行く習慣の中で、自然に受け継がれるものがあります。

仏教の教えも、お墓の文化も、本来はそのようにして人から人へ、場から場へと伝わってきたのだと思います。

私たち光徳石材は、これからも石材店として、ただ形をつくるだけでなく、祈りの場を整え、家族が集まる場所を守り、思いが伝わっていくお手伝いをしていきたいと考えています。


まとめ

今回のお坊さんの勉強会では、蓮如上人、「自信教人信」、浄土三部経などを通して、信じること、伝えること、そして伝わっていくことについて学びました。お墓もまた、思いを無理に言葉にしなくても、手を合わせる姿を通して大切なことが伝わっていく場所です。石材店として、私たちはその意味を忘れずに、お墓づくりに向き合っていきます。

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